重要なのは10の釣りを覚えるのではなく、1つを覚えて10の釣りに応用させる事。
私は9歳の時に釣りを始めました。当時は釣り仲間などほとんど居なかったので、毎週一人で地図を片手に魚がいる場所を探し回っていました。
当然、子供のお小遣いでは釣り具も満足に購入できませんし、物覚えの悪い私は複雑な釣り具を購入しても、使い方を直ぐ忘れてしまいます(笑)なので、当時から針とオモリだけを使った仕掛けで、様々な魚に挑んでいた記憶があります。
『子供の頃』という表現を使いましたが、現在でも一般に販売されている多くの釣り具は使い方を知りません(笑)ほとんどのシーンで、針、ガン玉、ナツメオモリだけで釣りをしています。
それじゃぁ不便でしょう。
と、そう思われるかもしれませんが、針とオモリの使い方しか知らなくても、全ての魚にしっかりと応用させる事さえできれば、‘‘釣り場で一番釣る奴’’になることは十分に可能なんです。
針とオモリだけの仕掛けでも、ちゃんと魚が釣れる様になれば、お金もかからないしこんなに良い釣りは無い!
良い道具は釣りを下手にさせる。一つのタックルで複数種の釣りに対応すれば、自然と腕は上がる。
書店に並ぶ釣り雑誌を眺めれば、『なんだこれは!!!』と全く使い方の検討がつか無いハイテクな釣り具達を見る事ができます。釣り人の様々な悩みを解決する便利な道具が、現代では沢山発売されているみたいです。
しかし忘れてはいけないのは、釣りにおける悩みというのは、本来道具で解決するか?腕で解決するか?の二つの解決方法があるという事。別にスペシャルな道具を使わ無くても、釣り人の『腕』によって多くのハードルをクリアする事は可能です。
確かに、素晴らしい竿を使えば、かけた魚をバラしにくくなるでしょう。素晴らしい針を使えば、フッキング率が格段に向上するでしょう。
しかし、そうやって最先端の道具にあらゆるハードルを超えてもらうばかりでは、私たち釣り人のスキル向上の妨げになってしまう。そんな可能性も十分に考えられます。
素晴らしい竿は、かけた魚をバラしにくく(ただ巻いているだけでもバレない)
素晴らしい針は、フッキング率が高い(とりあえず引けば刺さる、アタリに気付かなくて何もしなくても刺さる)
道具の研究は、究極的に言えば()の中を目指しているわけですから。つまり『下手でもなるべく釣れるように』を目指しているわけです。
最先端の道具を使う事自体は否定すべき事ではありません。ターゲットごとに最適化された道具を使うと、それぞれの釣果は確実に上がります。
しかし、どんな釣り人でも、一度は『一つのタックルを全ての釣りに使う』といったような期間を経験した方が、最終的には得が多い、釣り人の腕も上がるだろうと私は考えています。
子供の頃、初めて買った3000円の釣りセットを使い、フナ、コイ、ブラックバス、ニジマス、アジ、カマス、カツオ、エビ、タコ、なんでも釣りました。今考えれば『そのタックルじゃ無理でしょ!!』と突っ込みたくなるほど、無謀な装備でしたね(笑)
でも、この『1タックル100種目』みたいな期間こそ、私自身、一番釣りが上達した期間だったなと思います。3号ラインで1グラムのジグヘッドを飛ばしてみたり、10号のオモリを投げてみたり(笑)
どう考えても無謀すぎるんだけど、やってみると以外と出来るものなんですよね。『できない事はない』というか、『何とか出来るようになった』わけです。
こんな『とても出来ない』が『なんとか出来た!』に変わった時、釣りの腕が上がった!と言うのだと思います。
重要なのは10の釣りを覚える事ではなく、1つを覚えて10の釣りに応用させる事。
今言ったような経験を積む事で、現在持っているスキルを最大限に応用する力が身につきます。私自身、本音を言うと10のターゲットを釣るために、10種類の釣り全てを学ぶのは、労力がかかるし、あまりセンスのある振る舞いでは無いと思います。
10種の魚を釣るのに、10の釣りを学ばなければならない人は、全く新しい釣りに遭遇した際、また新しい釣り方を一から学び直さなければなりません。
こういったスタイルの人は、例外無く新しい釣り場、魚種に弱いです。
一方、1の釣りを学び10の釣りに応用出来る人は、全く新しいターゲットや釣り場と遭遇しても、これまでの経験から、即座に新しい対策を導き出す事ができるでしょう。
クロダイが釣りたかったら、『クロダイの仕掛けがないから無理だぁ』という風にはならないとい訳です。
ターゲットごとに最適化された道具と、釣り方というのは、あくまであったらより素晴らしいものであって、無くてはならないものではありません。
カニ網が無くてもカニは釣れます。
タコテンヤが無くてもタコは釣れます。
ブラクリでもメジナは釣れます。
すでに知っているスキル、持っている釣り具を活用して様々なターゲットを狙う。それによって1つの釣法でも10の釣りに対応する力が身につきます。私で言えば、針とオモリだけを使った普段の釣りがソレにあたります。
応用を意識する事。1を10に生かす事。これまで経験した10の釣りを、100の釣りに活かす事。
ココまで来れば、これから現場現場で遭遇する様々なターゲットにも、しっかりと対応する事ができるようになるはずですし、それが私の目指しているステージでもあります。
釣りが上手くなるには、一見『不便そう』『遠回りそう』に見えて、結局それが一番早道になる。針とオモリだけで、ある程度沢山の魚を釣る事ができるようになったのも、その訓練の成果だったのかもしれません。
写真は昨夜釣ったカサゴとウツボ。場所は小田原です。
釣行時に使用している仕掛けや釣り方に関しては、当サイト内にある『魚種別釣れる構造』に記載しています。一読するだけで後の釣果にかなりの違いが出てくると思いますので、興味のある方は目を通していただければと思います。
魚種別釣れる構造→https://kishitsuri.com/1515-2/